2005年1月から「自動車リサイクルシステム」の運用がスタート、自動車のリサイクルシステムは、既存の使用済自動車のリサイクルの産業基盤を活かしつつ、自動車ユーザーを始め、自動車メーカー・輸入業者、自動車の引き取り業者、フロン類回収業者、自動車の解体業者、自動車の破砕業者、各事業者の事業役割を明確にし、廃棄物の削減と地球資源の有効利用を目指した仕組みとなています。
自動車のリサイクルシステムができる前は、自動車の廃車として処分された車、鉄資源を中心に資源的価値が高く、再利用ができる、販売価格ついて流通する有用な金属、エンジン・ミッション・ボディ・ドア・ブレーキ類など、自動車中古部品を含む使用済自動車は、自動車ディーラー、自動車整備工場などの事業者間の流通、売買を通じて、自動車リサイクルが行われていました。
1990年代後半においては、天然資源の枯渇や地球温暖化問題、廃棄物の最終処分場の逼迫から招来への不安が高まるなかで有効資源の再活用する循環型社会を構築するための社会的な枠組みの構築が急速に進み、2005年1月から「自動車リサイクルシステム」の運用がスタートしました。
現在、自動車ユーザーや自動車メーカー・輸入業者を始め自動車の産業界が一体となった取組に支えられ、進展してきた自動車のリサイクルシステムにより、使用済自動車のほとんどがリサイクル資源、リサイクルパーツ類として再利用されています。
2005年1月から「自動車リサイクルシステム」の運用がスタートする前の自動車リサイクルができた背景として、昔の使用済自動車のリサイクルの状況は、2002年ぐらいまで、日本国内で年間約400万台、中古車輸出も含めると約500万台、排出される使用済自動車が、有用な金属・部品を含み資源として価値が高いものであるため、自動車解体業者や自動車破砕業者との取引において、流通して自動車のリサイクル事業が行われていました。
2002年時点の使用済自動車リサイクル率は、約80%程度とそれほど低くはなかったものの、金属などの素材や部品をリサイクルした後に残る“シュレッダーダスト”を処理するための埋立処分場が逼迫し、また、鉄スクラップの市場価格の低下の影響などにより、自動車の廃車処分が、自動車ユーザーが処理費を負担し、使用済自動車を引渡すということが起こるとともに、使用済自動車の不法投棄・不適正処理の懸念が生じる状況となっていました。
また、使用済自動車のリサイクルでは、地球温暖化などに影響を与えるカーエアコン冷媒としてフロン類の確実な破壊処理、専門技術を要するエアバック類の適正処理も、十分に進みませんでした。
使用済自動車のリサイクルにおける問題としては、自動車の野積みのような不法投棄された使用済自動車から、有害物質流出により土壌・地下水等が汚染される問題も懸念されていました。
不適正な処理により大気に放出されたフロン類がオゾン層を破壊し、生態系を変化させる問題も徐々に進行するんかで、衝突時の衝撃から乗員を保護するためのエアバッグやシートベルト・プリテンショナーなどのエアバッグ類の安全な処理には専門的な技術が必要になっている問題もありました。
シュレッダーダストの殆どが廃棄物として埋立処分がなされている問題について、これらの問題に対応するため、循環型社会形成推進基本法に基づく第5番目の個別法として、2002年7月12日に使用済自動車の再資源化等に関する法律(通称「自動車リサイクル法」)が制定され、2005年1月1日から施行されたのが自動車リサイクルシステムの運用がスタートになっています。